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東京人の九州出張あるある。
帰りに土産を買おうとして、九州では薩摩揚げを薩摩揚げと言わないことを初めて知る。そういや、この前、寿司大で隣の客が宮崎の人だったので、「薩摩揚げって言わないんですよね」と言ったら「よく知ってますね」と感心された。店長も「そうなんですか」と驚いていた。
この塗り分けられた地図を見てほしい(
[URL])。鹿児島では「つけ揚げ」。鹿児島以外の西日本(沖縄と広島は別)では「天ぷら」。薩摩揚げと呼ぶのは、「はんぺん」の岐阜、愛知より遠い東日本と石川、富山だけなのだ。
第3回で紹介した江戸前の老舗の3代目・吉野f雄の言葉<たしかに、東京にもってきたからこそ「大阪ずし」であって、地元の大阪の人々にとっては、それぞれ箱ずし、押しずし、バッテラ、雀ずしである。大阪の人々が「大阪ずし」と名のることはありえまい>がよみがえる。
大阪寿司に限らず、ある地方の特産品や名物が遠く離れた地に伝わった時、伝来元の地名が付くのだ。
唐辛子は日本から韓国に伝わったため、韓国では最初、倭芥(日本からし)と呼ばれていたという記録があるそうだ。
日本人が唐辛子のことを日本辛子とは絶対に言わないが、遠方でのそうした呼び名を知った際、地元の人たちが取る対応は分かれる。
断固拒否派が広島焼き。広島県民は広島焼きと言わないどころか、広島焼きと言うと抗議殺到だ。
鹿児島県民も身内では薩摩揚げを使わないだろうが、土産を買う東日本の人間が質問したら、「それは薩摩揚げのことです」と説明はしてくれるだろう。
そして、大阪では、大阪寿司の日を制定して、積極的に活用しようとしたが、知る限り全く定着していないし、ましてや周辺の京都や兵庫では全く使われていない。
今年の大阪寿司の日、古市庵という寿司のテイクアウト専門チェーンがキャンペーンをしていたが、福岡県久留米市の会社。東京で北海道フェアや沖縄フェアをやるようなもの。やはり、「地名付きがはやるのは遠方」の法則が効いている(
[URL])。
地元民も積極的に取り入れて、定着しているのは野沢菜。発祥の野沢温泉などではカブナ(蕪菜)や菜っ葉と呼ばれていた。一説によると、東京からのスキー客が野沢菜と呼んだのが広まったそうだ。
農水省の郷土料理のページを見ると、地元がこのような地名呼びを受け入れているかどうかが分かっておもしろい。
◆インド名物はインドカレーと言われたような違和感 「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(1)
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◆大阪のお寿司との違いは? 「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(2)
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◆いつから使われ出した?「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(3)
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◆残る老舗3店 「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(4)
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◆茶巾は東京生まれ 「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(5)
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◆リトル大阪があった 「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(6)
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◆ 消えた名店 「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(7)
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◆確かにあった 「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(8)
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◆本物の箱寿司は卵焼きが甘かった 「大阪寿司」は東京土着民にしか通じない江戸の方言(9)
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