安倍の負の遺産 1つは消したか 菅組閣 地味な年寄りばかりと評判は悪いが
2020-09-24


禺画像]
当選7回。「いつまでたっても大臣になれないし、そろそろ応援するのやめようか」。そんな話が地元でチラホラ出始める中、第2次大平内閣で待ちに待った入閣を果たした防衛庁長官(福田派)がいた。だが、国防は全くの素人。折悪しく自衛官のスパイ事件が発覚し、国会で厳しい追求の矢面に立つ。ひどい発言を繰り返し、辞任要求を突きつけられるが、「苦しくても踏みとどまるのが責務」と棒読み答弁で制服組の士気はダダ下がり。シビリアンたちは「野党の質問のレベルどころか、非核三原則を言ってみろすら答えられない大臣」とさじを投げる。わずか86日間で辞めた。
 なぜ、国会議員は派閥に入るのか。「おらが町の先生もいつかは大臣に」という地元後援者たちの期待に応えるためだ。当選回数の多い在庫を一掃するため、改造と組閣を頻繁にやる。本人の知識や能力は問わない。とりあえず飾りにしておけば各省の官僚が何とかする。
 欧米では外交、国防など重要分野の閣僚に素人を据えたり、コロコロ変えたりしない。だから、キッシンジャー、グロムイコなど歴史と記憶に残る閣僚が生まれる。
 さすがに大臣がおかしいと国際的な恥になるので、日本でもいつの頃からか職務内容を理解し、自分の頭で考えて答えられる人材が充てられるようになった。それがいつの間にか先祖返りしてしまったのが安倍政権。「任命責任は私にある」と言ってたが、本音は「派閥のボスにどうしてもと頼まれたから大臣にしたのに何でこっちの責任になるのか」ではないかと。
 今回の組閣。知名度や人気で選ばれた者は少なく、地味と評判はよくない。最後の最後に「相当、ほら吹いてきました」などと失言するような明らかな愚か者たちはすげ替えられた。失言文科相の留任は不安要因だが。趣味で好きだからと言って適材とは限らないが、少なくともPCの使い方が分からないIT大臣よりはマシ。派閥均衡型ではあるが、そのほとんどが仕事を理解している経験者。前回就任時に大きな失敗はない。これでは入閣できない在庫組の不満解消にはつながらない。派閥の旨みにつながらない大臣人事をこれからも続けられるのか。それならば安倍政権の負の遺産の一つは消せる。

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット