HIV耐性ゲノム編集ベビー 気になる間違い
2018-12-02


中国で、受精卵にHIV感染を阻止するゲノム編集を加えて、双子が誕生したというニュース。
まず間違いの(1)
 テレビで、受精卵の遺伝子(DNA)をはさみで切って、間に新しい遺伝子を挿入するアニメをつくっていたが、間違い。このゲノム編集は、標的の遺伝子を壊しているだけで、別な遺伝子の挿入はしていない。HIVが細胞に感染するのに必要な膜たんぱく質を作る遺伝子を壊している。それだけで、HIVは感染できなくなるのだ。

もう一つ、間違いと断言できるかどうか微妙だが(2)
 「HIVから子どもを守るほかの方法がある」と学者が非難していると報道されている。だが、特別なことをやる必要はない。HIV陽性の男性でも、体外受精すれば、妻や生まれてくる子どもにHIVが感染する可能性はほぼないと言っていい。また、抗HIV薬がよく効いて、HIV陽性の男性の血液中からHIVが検出されない状態が続いていれば、普通に妊娠しても妻や子どもにHIVが感染することはないことが医学的に証明されている。
 国際エイズデーから開かれている日本エイズ学会でも取り上げる国際的なスローガンは”UNDETECTABLE=UNTRANSMITTABLE”(検出がなければ、感染はない)。
 HIV医療の現場ではそのようなことが常識となっているのに、HIV陽性の夫から陰性の妻や子どもへの感染を阻止するのに何か特別なことをしなければならないかのようなコメントはHIVへの根強い偏見を助長する。
[ゲノム編集]
[HIV]

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